◆〈池城美菜子の名盤ライナートーク〉第5弾、今回は1998年リリースのホィットニー・ヒューストン(https://spoti.fi/3mVeHEY )通算4枚目のアルバム『My Love is Your Love』(https://bit.ly/3FhODyv )です。 ◆「池城美菜子の名盤ライナートーク」の構成:毎回アルバムを一枚選定。この作品を選んだ理由、作品の概要と背景、全曲解説、そして、このアルバムを語る/楽しむ上では決して外すことの出来ない3曲――今回の場合は、“It's Not Right But It's Okay”(https://bit.ly/3GV7FMe )、“When You Believe”(https://bit.ly/3UojCwO )、“My Love Is You Love”(https://bit.ly/3UBIMZj )についての詳細解説と続きます。以下は、企画発案者/MC池城美菜子からの弁になります。皆さん、是非楽しんで下さい。 ◆ホィットニー・ヒューストン『My Love is Your Love』:史上最高の歌声と謳われたホイットニーは1985年のセルフ・タイトル・アルバムでの鮮烈なデビューから1992年を制した映画『ボディガード』までの印象が強いアーティストです。当時を知る音楽ファンは『ボディガード』の主題歌“イ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー”をはじめ、“グレーテスト・ラヴ・オブ・オール”や“セーヴィング・オール・マイ・ラヴ・フォー・ユー”あたりの代表曲をよく覚えているかもしれません。ただ、名盤ライナー・トークの選定基準「いまの音楽シーンに大きなインパクト、影響を与えたアルバム」となると、私は8年ぶりのスタジオ・アルバムとして大きな話題を集めた本作だと思います。90年代中盤は『天使の贈りもの』や『ため息つかせて』など映画出演が続き、新しいヒットが切望されたホイットニー。アリスタ社長のクライヴ・ディヴィスは、サードから組み始めたベイビーフェイスに加え、ロドニー・ジャーキンズやワイクリフ・ジョン、ミッシー・エリオットらヒット・チャートの最先端を走っていた制作陣を揃えます。歌唱力対決になっている客演曲も注目。ライヴァルと目されていたマライア・キャリーとの“ウェン・ユー・ビリーブ”、ケリー・プライス、フェイス・エヴァンスとの“ハートブレイク・ホテル”をヒットさせました。そして、ヒドゥン・トラックはローリン・ヒル。曲の背景と、聴きどころを解説します。 ◆「池城美菜子の名盤ライナートーク」のコンセプト:真新しいCDやレコードのフィルムをペリペリと剥がし、中の「盤」の状態を確認、それからライナー・ノーツを厳かに取り出す。直径が12インチ(30.48センチ)もあるレコードであれば、そのスペースだけで曲名、クレジット、歌詞、そして解説が入っていた。いち音楽ファンとして、音楽ライターとして私はライナー・ノーツが大好きだ。すでに購入したあと、聴く直前に読む文章だから、過剰な宣伝文句はいらない。自分が書くときは「いい買い物をしましたね!」の一言を、思いっきり膨らませようと注力する。聴く人が理解を深めてくれるといいな、と願いながら。さびしいことに、ライナー・ノーツ文化が消えつつある。その「つつ」の部分を引っ張るための企画がこのライナー・トークである。それも、すでに名盤として名高いアルバムの聴きどころと功績を30~40分でしゃべり倒そう、が企画意図。一度、名盤と認定されても、時の経過とともに相対的に評価が上下するのがポップ・ミュージックのおそろしいところだ。その厳しさに耐え抜いている名盤を選び、当時の反響、歌詞の意味、そして月日を経たうえでの歴史的意義を、(基本的には)池城美菜子ひとりで話す。なぜ、ひとりかというと、受け手がいるとその人の発言に引っ張られ、なにを言おうとしたかよく忘れるためである。 ◆池城美菜子:1990年代頭より延々とヒップホップ、R&B、レゲエのブラック・ミュージックと周辺カルチャーについての記事の執筆、歌詞対訳、翻訳を手がける。1995~2016年はニューヨークで同じことをしていた。著書3冊、翻訳書2冊。重版がかかったのは音楽以外をテーマにした『ニューヨーク・フーディー マンハッタン&ブルックリン レストラン・ガイド』のみ。文章が難解との評判の『カニエ・ウェスト論 《...