• 玉ノ井親方(元栃東関)と《足立区梅田・西新井》#12

  • Aug 27 2023
  • Length: 24 mins
  • Podcast

玉ノ井親方(元栃東関)と《足立区梅田・西新井》#12

  • Summary

  • 玉ノ井部屋に伺う前から、我々の魂胆はもうバレバレでありました。 玉ノ井親方には前日の段階でおおよその「質問事項」を送っておりまして、その内容とくれば、オブラートで何重にも包んではありましたが、早い話が「親方、どうか治安が悪かった頃の足立区エピソードを教えてください」に他なりません。もう、剥き出しでした。 足立区の犯罪発生数が23区でワースト1位の記録を保持。これを80年代のマスメディアがこぞってこれを面白がりすっかり物騒なイメージが浸透。令和の現在において、犯罪件数は劇的に改善されており、徐々にではありますが足立区は「かつて治安が悪かった区」という認識が広まりつつあります。 ということで、当時の足立区の話を聞きたいという浅薄な衝動に身を委ねたのです。 玉ノ井親方が足立区にやってきたのは平成2年(1990年)のこと。当時、親方は中学生。まさに足立区が「全盛期」だった時代に、思春期を迎えていたのです。ちょうど相撲に目覚める過渡期でもありました。 松重ディレクターが薄氷を踏むかのごとく「治安が良くないイメージがありますが」と切り出せば、親方は「良くないイメージというか、良くなかったです」と意外にも磊落にお答えくださいました。 では、どんな具合に治安が悪かったかといえば、親方の話には意表を突かれました。通常、我々が考えるような治安の悪い町といえば、全ての店前にヤンキーが屯し、ちょいとカメラを回せば自然と『クローズ』の実写映画が出来上がる、そんなイメージでした。ところが親方が語る治安の悪さとは、 「あんまり人と人とが喋っているという感覚がない」 我々の想像を簡単に寄り切る、皮膚感覚の宿った言葉。 「(ご近所に)おはようございます、と言っても無視される」 住んでいる人々に覇気がなく、どこか全体が暗澹としている。自転車を盗まれるとか、ヤンキーに殴られるとかではなく、「挨拶が返ってこない」これこそが、実際に住んでいた方でないとわからない、「治安」の感覚。 「おはようございます」この思いを届けたい、この先ずっと。 鈴木雅之のグラサンに当時の玉ノ井親方改、志賀太祐少年の姿が、そっと写り込んだところで、後半へと話は続くのです。 文責:洛田二十日(スタッフ) Learn more about your ad choices. Visit megaphone.fm/adchoices
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