営業の神さま――営業が進化する9つの問いかけ
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By:
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中村 信仁
About this listen
技術職として採用され8年間、不景気の煽りを受けた社の方針で営業職に異動となり2年間、慣れない営業活動にリストラ候補としてのプレッシャーを受けながら、日々心も体も磨り減らすようにして生きていた。
わずかばかりの基本給だけで家族を養い、異動前に購入したばかりのマンションをなんとか守るため、歯を食いしばり必死で戦う日々を送っていた。
「今月、来月の二ヶ月間の結果で進退を決めてもらう」
上司からの実質的なクビ予告。家は抵当に入れられ、ついに家族からは笑顔が消えていった。
数ヵ月後、家は競売に掛けられ、立ち退きを余儀なくされてしまう。
何度も折れそうになる心をわずかばかり奮い立たせ、早田は靴をすり減らし続けた。
そんな中偶然飛び込んだ先で5台の契約をとの申し出を受ける。彼の人生に、わずかな光が差し込み、希望が早田を包んでいった。
契約当日。
意気込み確かな足取りで向かったその会社の入口に貼られた一枚の貼紙に早田は愕然とする。
「会社更生法により・・・管財人の連絡先は」
早田の心は、音を立てて折れていった。
気がついた時には、名も知れぬ海が見える公園のベンチに早田は座っていた。
「もうダメだ……。もうムリだ……。もうヤメよう……。でも、なにをヤメるのだろう……。生きること……。ヤメてしまえば、きっと楽になれるはずだ……。」
誰もいない公園。たったひとつのベンチ。
ぼんやりと眺めた空の向こうに、一枚の白い羽根が舞っている。羽根は、まるで天使が舞い降りるように、早田の膝の上に落ちてきた。よく見ればそれは名刺サイズの古ぼけた一枚の紙切れだった。
『君を愛している人がいることを忘れないでいて欲しい。君は独りじゃないことを忘れないで欲しい。私はいつでも君を見守っている。この先、多くの理不尽と出会うとも、これまで多くの理不尽に翻弄されようともすべての出来事は必然なんだ。これから訪れる奇跡のための必然……。信じる勇気を捨てないでいれば必ず希望がいつも君を支えてくれるはず。生きるってことは、善いことも、悪いことも、全部ひっくるめて人生なんだ』©Shinji nakamura
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